製造物責任
「製造物責任法」以下PL(product liability)とは、企業が製造した製品の「欠陥」によって第三者の身体・財物に損害が発生した場合、その損害に対して、賠償責任を負うことを言います。
商品(製造物)に欠陥(瑕疵)があるため、消費者、利用者等が損害を被ったときに製造業者等に賠償責任を負わせようとするのが「製造物責任」です。「製造物の欠陥」 を立証することで足りるようになり、・損害の発生・当該製品の欠陥 ・欠陥と損害との因果関係等を鑑定します。

鑑定事例

事例 鑑定内容
製造物責任 乳製品の汚染と異品を組み込まれた製造設備の因果関係を解明。
製造物責任 製造依頼した模造品がサンプル通りにできない場合の責任所在。
使用者責任 冷凍機の熱交換部銅管腐食事故の原因解明(防食剤の濃度管理)
使用者責任 リースした水タンクを対策し、塩酸を使用して発生した事故の責任。
ペットフード製造機による人身事故 攪拌機上部の蓋を開けるとリミットスイッチが作動して停止する安全装置があるが、内部に手を差し込んだときに機械が停止せず、内部の押出スクリューで右手指3本を切断。技術的意見書を提出。
大型トレーラ・トラクタのブレーキ信頼性不足 車両総重量90トンの連結車に発生するブレーキの効き不良。現象の再現および物理的・客観的記録表現が必須であるが、方法を提案するも実施にはリスクや費用を要する。トラクタは連結の責任は取れないと主張。法的な責任所在論であろうが、製造物の責任面からはメーカーの善意が欲しい。
バイク火災の原因鑑定 使用されていたケーブルは、欠陥か否かの鑑定。
フル電動自転車停止操作時に暴走 販売会社が提出した資料は、メーカーからの伝聞をメモにまとめたもので技術資料は無かった。国内の市販品の主流である電動自転車の登録特許を調査し、インターネット上に公開された市販品の自転車及びその構成部品を調査した上で借用した証拠品の動作などを観察して考察して鑑定した。
オーダータブレットの不具合解析 オーダータブレットが突然フリーズ状態になる不具合が多発した。機器の仕様、使用履歴等の情報はなく、良品、不良品の搭載されるLIBの充放電特性と、タブレットの表示を調査し、不具合は主に当該電池の長期にわたる充放電サイクルによる劣化の可能性が高いと判断した。
電子レンジ使用中の発火事故 再現試験を含む鑑定を行なった。購入後 1年4か月で家電製品から発火した事案である。法にもとづく、過失の定義と要件についての鑑定である。
生ゴミ処理機の構造欠陥に関する鑑定 バイオマス燃料の温風機から無人運転時に火災が発生した。装置の仕組みに基本的な原因があり、発生した乾留ガスに燃料の種火が引火したことによる事故と鑑定した。
消化ガス発電ガスエンジン不具合原因 下水処理施設の設備の一環であるガス燃料による火花点火式大型内燃エンジンの運転不能に至る大破事故について、他の鑑定結果と全く異なる観点で機序解析を行い、結論も異なる成果物を得た。
エアコン凝縮液体の成分分析に関する見解 凝縮液体は、空気中に飛散した油の可能性が高かった。
薪ボイラによる火災鑑定 バイオマス燃料の温風機から無人運転時に火災が発生した。装置の仕組みに基本的な原因があり、発生した乾留ガスに燃料の種火が引火したことによる事故と鑑定した。
乾留ガス化プラントの爆発事故 廃棄物をガス化する炉で生成ガスが爆発した。生成ガスの爆発要因を運転の状態から化学的に考察し、ガスの濃度条件が爆発限界内に成立したときに熾火による爆発に至ったと結論した。
追突による液化窒素車両蒸気器の被害鑑定 酸化を嫌う加工工程用の窒素は、輸送効率向上目的で低温液化し、輸送先で気体に戻す機能を搭載した液化窒素LN2タンクローリ車が使われる。LN2大型タンクローリ車の気化用「蒸発器」は車輌の後端下部に吊り下げ搭載されているが、乗用車が追突して損傷痕があった。事故後に蒸発機能に実用上の障害は発生していないが、保険対象事故に相当するか、現車見分を行い、保険金支払いの鑑定をした。

参考資料

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